日々これ好日

カテゴリ:読書メモ( 20 )

Ray Bradburyに会いに

先日学校で読んだ新聞にRay Bradburyの講演会があると載っていた。どうやら南カリフォルニアに住んでいるようだ。英語が難しいかも、と先生に言ったら、面白い人だし、英語もきっと大丈夫だから行ってみたら、と言われ、読んだ当日の夕方だったけど、近所だったこともあり行ってみる事にした。先着順ということもあって、すでに会場には人がたくさん来ていた。若い人達がかなりいたから学校で行けと言われて来たのかなと思っていたら、近くに学校の先生らしい人がいて、来ればextra creditになるというようなことを言っているのが聞こえた。年配の人達もかなり多かった。すでにRay Bradbury本人は来ていて、本にサインをしているようだった。白髪で太めの黒ぶち眼鏡をかけたおじいさん、という感じだった。
今回の講演内容はどうちらかというと若い人達を対象にしているようだった。とにかく"Love"が大切だと言っていた。自分の人生なんだから、自分が本当に好きなことをしなさい、と言いながら自分の経験を話していた。例えばカレッジには行かず図書館でいろんなことを勉強していて、図書館のことを本当に愛してたからこそ、"Fahrenheit 451"を書く事にしたのだそうだ。エジプトのアレキサンドリアの図書館の火事で大量の本が焼失してしまったことや焚書などは絶対にあってはいけないと言っていた(話はそれるけど、アレキサンドリアの図書館の本が焼失してしまったせいで500年以上進歩が遅れてしまったという人もいる。もし焼失してなかったら今頃500年分先を行っていたのかと思うと残念。今頃スタートレックみたいに宇宙を旅していたかも)。図書館以外ではフェリーニのこと。フェリーニが大好きでいろいろなところフェリーニについて文章を書いていたら、フェリーニ本人から手紙がきて、イタリアに会いに行ったそうだ。何日か一緒に過ごし、分かれるときには"You are my twin."と言われたそうだ。お芝居も好きな事の一つで、儲からないけど好きだからやっているのだそうだ。人生で好きな事だけをするのは難しいけど出来ない事ではないんだなと思った。
話をしている時間は45分くらいで、英語も難しかったけどなかなか面白かった。
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by lerot11 | 2007-05-29 02:35 | 読書メモ

"Middlesex" Jeffrey Eugenides

e0052044_7311169.jpg2003年のピューリッツァー賞受賞。
物語の主人公は語り手でもあるCalliope (Cal)。女の子として育てられたのだけれど14才の時、男性だということが分かる。現在は大使館員としてベルリンで働いているCal(Calliope)が現在と過去を織り交ぜながらどのようにして自分が両性具有だということを知り、どんな風に乗り越えた(受け入れた?納得した?安堵した?)のかを語る。
原因は血族結婚により起きてしまう遺伝子上の欠陥。物語は祖母の時代にさかのぼる。1920年代、トルコに近いギリシャの村で絹糸を作っていた祖母のDesdemonaと絹糸を売っていた兄弟であるLeftyは、トルコとギリシャの戦争の戦火を逃れるためアメリカへ行くことにする。そしてその船の中で結婚してしまう。Desdemonaは子供に異常が出るのではと心配しつつも2人子供をもうける。そのうちの一人がCalliopeの父親であるMilton。MiltonはまたいとこであるTessieと結婚。そしてCalliopeが生まれ、14才の夏に起きた出来事をきっかけに自分が何なのかを知るところまでが家族に起きる出来事などを交えて語られる。
両性具有の話としても面白いのだけれど、ギリシャからアメリカへ移民として入り、根付いていくところ(アメリカ人になっていくところ)が描かれているのでそちらの視点から読んでもとても面白い。過去の話と交えて現在の自分のガールフレンドとのことも語られる。500ページ以上と長いのだけれど登場人物たちもとても面白くて飽きることなく読める。
Jeffrey EugenidesはSofia Coppolaが監督した"The Virgin Suicides"の作者でもある。
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by lerot11 | 2006-12-19 07:33 | 読書メモ

"Fahrenheit 451" (1953) Ray Bradbury

e0052044_1121478.jpgもしこの世に本がなかったら?
(ネタバレあり)
この小説の中の未来の世界では本が余計な感情を生み"有害"だということで禁止されている。舞台はアメリカのどこか。主人公のGuy Montagは"Fireman"として、書物を発見したという通報を受けると燃やしに行く日々を送っている。ある日Clarissaという少女に出会い言葉を交わしているうちに、自分の生活が変だと思い始める。そんなとき、書物を燃やしに行った家で、本と一緒に自殺してしまう女性を目撃する。そして本を持ち帰ってしまう。これが原因で自分も追われる身になる。知り合った英語教師、Faberに助けられ、町から逃げ出す。Faberに言われた通り川沿いに歩いていると放浪している人々に出会う。この放浪している人達は皆町から追われた身で、一人一人が本を記憶している。紙の状態ではないので燃やす事が出来ない。いつか本に出来る日まで記憶を伝えて行こうとしている。もし死んでしまったら本が永久に消えてしまう事になるから体に気をつけなければいけない。年を取ってしまったら次の世代に本の記憶を伝え、本になる時を待つ。
町はMontagが逃げ出した後、戦争を始める。爆弾が町に落ち、平になってしまった町へ、Montag達のグループは向かって行く。
この小説はFrançois Truffautにより1966年に映画化されていて見た事がある。映画の中では小説では死んだ事になっているClarissaが生きている。霧がかった森の中でたくさんの人達がそれぞれの”本”を暗唱しながら歩いているシーンがとても印象的で美しくてあんまり他のところはおぼえていなかった。
華氏451度とは本(紙)が燃える温度。焚書は世界の歴史の中でも秦の始皇帝やナチスドイツなどが行った。今の世界ではちょっと想像できないけど、よく考えたらナチスドイツは今からたった数十年前のことだ。現在でも検閲などが厳しい国は少なくないだろうし、George Orwellの"1984"とかAldous Huxleyの"Brave New World"などの"体制もの”みたいな世界がいつか来てしまうのかもしれない、とちょっと思った。
主人公のGuy MontagのGuyは"V for Vendetta"のVのモデルとなったイギリスのGuy Fawkesから来ているとどこかで見たけれど、本当だろうか。
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by lerot11 | 2006-09-23 11:24 | 読書メモ

"Interpreter of Maladies" Jhumpa Lahiri

e0052044_10425492.jpg2000年のピューリッツァー賞をとったイギリス生まれでニューヨーク在住のインド系アメリカ人、ジュンパ・ラヒリの短編集。邦訳は『停電の夜に』というタイトル。
インドが舞台のものもあればアメリカにいるインドからの移民が主人公のものもある。語り手も登場人物(女性や男性)だったり、第3者だったり、描写も無駄なくとても巧みな構造になっている感じがする。
全部で9本の短編はどれもとても好きなのだけれど、一番好きなのはタイトルになっている"A Temporary Matter"(停電の夜に)。子供が死産だったことからお互いを避けるようになってしまったアメリカに住むインド人の夫婦が、突然の停電で数日間一緒に時間を過ごさなくてはならなくなる。停電中の食事の間に、今まで話した事のないことをお互い告白することになる。この出来事の間に過去の出来事が語られる。最後に夫が語る”秘密”はとてもせつない。他にも"The Third and Final Continent"に出てくる下宿屋さんのおばあさんがとても良い。これもまた切ない物語。一番どきっとしたのは”Mrs. Sen's"。アメリカに住み始めて間もないインド人の奥さん(Mrs.Sen)が自宅でアメリカ人の男の子のベビーシッターをする。その少年が語り手。Mrs.Senは車の運転ができない。料理の材料を買いに行くのも夫に頼んでいたのだが、夫も仕事の都合でできなくなる。そのことでけんかになり泣いたり、バスで買い物に行くのだけれど、そこで不快な出来事が起きたり、最後は車を運転してとうとう事故を起こしてしまう。新しい土地や文化になじめない外国人の切なさが伝わって来た。
ほとんどの短編にスパイスなどの香りの描写があって、濃厚な香りが漂ってきそうな本だった。
本の最初のページに書評の引用がいくつか載っているのだけれど、そのなかにMichiko Kakutaniを発見。彼女はN.Y. Timesの書評家で、"Sex and the City"の中でキャリーが恐れている人物。最初に聞いた時は架空の人物かと思ったのだけれど実在の人物で辛口の批評で有名らしい。
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by lerot11 | 2006-09-02 10:44 | 読書メモ

"L'étranger" Albert Camus

e0052044_094521.jpg『今日ママンが死んだ』から始まるカミュの小説(”異邦人”)。ずっと本棚にあったけど今まで最後まで読み切った事がなかった。
語り手は主人公。起きる事を淡々と語っているといった感じ。まるで自分に起きている事ではないみたいに。
語り手は主人公。起きる事を淡々と語っているといった感じ。まるで自分に起きている事ではないみたいな。
二部構成になっていて、前半はごく普通のどこにでもいる会社員の主人公がアラブ人を殺してしまうところまで、後半は裁判とその後。
アラブ人の持っていたナイフが反射してまぶしくて、銃で撃ってしまう。殺人をしたのは太陽がまぶしかったからだと裁判で言ってしまう。裁判では、母親を養老院へいれた事や、母親のお葬式で涙を見せなかった事や、お葬式直後に女性と映画を見に行ったことが重要視されてしまう。刑務所の司祭がキリスト教徒になるようすすめるが拒否。反省とか後悔とかそういう普通の小説で起きる感情とはまったく別の次元に主人公はいる。
アルジェリアに行った事はないけれど、きっと乾燥していてほこりっぽくて太陽が痛いくらいに照りつけて影がとても深くて空が青いところなんだろう。
読み終わったけどまだちゃんと消化できてない。
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by lerot11 | 2006-08-18 00:19 | 読書メモ

"To kill a mockingbird" (1960) Harper Lee

e0052044_12335673.jpg英米文学を専攻した人達なら知っている小説なのかもしれない。映画化もされている(邦題名:『アラバマ物語』)。どうやらこちらでは推薦図書になっているようで、本屋さんにはたくさん並んでいた。
舞台は1930年代のアラバマのとある町。物語は主人公で語り手のScoutが8才の夏からハロウィンにかけて起きた出来事を6才にさかのぼって語るところから始まる。4才年上の兄Jem、友達のDill、白人の女の子をレイプしたかどで逮捕された黒人を弁護する事になる父親のAtticus、お手伝いの黒人女性、家にこもって絶対に人前に出て来ないBooや、町の人達がScoutの描写を通してそれぞれ当時の南部の雰囲気を醸し出している。
リンカーンが1862年に奴隷解放宣言をしたとは言え、1930年代でもまだ黒人差別は続いている(公民権運動のきっかけになったアラバマのローザ・パークス逮捕により起きたボイコット事件も1955年を待たなければならない)なかでのAtticusの法廷でのシーンは息つく暇がなく、またその後に続く事件も最後まではらはらさせられる(裁判の結果は…読んでみてください)。
信念を持って黒人を弁護するAtticusに、作者の人種差別にたいする思いが込められている。
普段の生活ではあまり感じられない、こうであったらいいな、と思う"Core American Value"がAtticusを通して描かれている。また、人種差別だけでなく、子供時代だから感じる切ない気持ちも描かれていてぐっとくる。なぜこのタイトルなのかも終わりの方で分かるようになっている。
作者のHarper Leeは実はTruman Garcia Capoteの幼なじみで、昨年公開された"Capote"にも出ている。作中のDillのモデルはCapoteだったそうだ。他の作品も読んでみたいと思ったのだが、彼女の作品はこれ1作しかない。
英語そのものは子供の視点なので多分それほど難しくはないはずなのだけれど、アメリカ南部の言葉遣いや省略形がたくさんあって苦戦した。でも読んでとっても良かったなと思う。

追記(2006年6月13日):日曜日の書評を見ていたら、Harper Leeについての本(Mockingbird A Portrait of Harper Lee, Charles J. Shields & Henry Holt)が載っていた。
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by lerot11 | 2006-06-13 13:16 | 読書メモ

"Angels & Demons" Dan Brown

e0052044_1118024.jpgわからない言葉は想像で補いながらとりあえず読了。
ダ・ヴィンチ・コードと同様とてもスリリングな展開。悪玉か?と思っていた人が実は善玉だったり、最後のどんでん返しはなかなか良かった。でもイリュミナティとカメルレンゴとの関係をもうちょっと詳しく描いてほしかったなと思う(もしかしてよく英語を理解していなかっただけなのかも)。
それにしても、法王とカメルレンゴの関係とか、フィクションとは分かっていても法王庁はこういう話、いやがるんじゃないかなあと思う。ダ・ヴィンチ・コードの時も人殺しは修道士だったし。
ダ・ヴィンチ・コードでは、事実とフィクションが巧みに織り交ぜられていたのだが(フィクションなのであたりまえだが)、それを本気で信じてやって来る大勢のアメリカ人観光客に、パリのガイドたちが迷惑顔だったという話もあった。今度のヴァチカンもそうなのかな、とちょっと思ったりもするのだが、私もヴァチカンに行きたくなってしまった。
イリュミナティとかフリーメイソンなどの秘密結社っていうのは永遠のテーマなんだろう。本当はどんなことをしていたんだろう、ととても興味がわく。パリにフリーメイソン博物館があると聞いたのだが。
5月に公開されるダ・ヴィンチ・コードではロバート・ランドンをトム・ハンクスが演じる。トム・ハンクスは好きだけど、私の中のイメージとは全然違うんだよな…。
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by lerot11 | 2006-02-24 11:21 | 読書メモ

2005年10月19日 ”3月は深き紅の淵を”恩田陸

タイトルと同じ名前の本にまつわる4つの物語。ミステリーの面白さが伝わってくる。
また最後の物語の中では、作者と物語との二つの部分がまざりあっていて、挑戦してるんだなと思わせる。
この人の本を読んでいると旅をしたくなる。4つのうちの一つは出雲行きの寝台車のなかで語られる。
カリフォルニアにいては当分無理だろうな。
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by lerot11 | 2005-12-28 07:36 | 読書メモ

"凍り付いた香り"小川洋子

主人公、涼子のプラハへ行くためのトランジットのシーンから始まる。
恋人で調香師助手の弘之(ルーキー)が自殺をしたいきさつが語られ、家族と過ごした日々が語られ、プラハでの旅の日々が語られる。
プラハにあるクジャクのいる洞窟に置かれた壷の中には、人に語られた思い出をしまいこんだクジャクの心臓が入っている。
現実の世界と日現実の世界が、”余白の愛”でもそうだったが、きれいに交わっている。そしてここでもまた、記憶が閉じ込められ分類整理されている。
登場人物もまた、涼子、弘之の弟、章、弘之の母の三角関係。数学が語られ、モーツアルトの髪の毛が出てくる(余白の愛ではベートーベンも補聴器)。
その人を思い出させる香水”記憶の泉”、どんな香がするのだろう。
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by lerot11 | 2005-09-25 09:41 | 読書メモ

”ゲルマニウムの夜”花村萬月

芥川賞を取ったらしいこの作品はとても文学っぽい。主人公の心の動きや他の登場人物の細かい分析があったりする。王国記というシリーズの一作目。
一度出た神奈川県にある修道院兼教護院に、人を殺してから舞い戻った青年の話。
修道院内の暴力、同性愛、修道女との肉体関係。閉ざされた世界で起きる出来事。血のにおいがしてきそうな感じ。
以前奈良原一高の”王国”シリーズの写真をみた。修道士が眉間を押さえている写真。とても有名だと思う。タイトルはそこから?って少し思った。
以前読んだ”聖殺人者イグナシオ”も修道院だった。
表紙のフランシス・ベーコン(Three studies for figures at the base of a crucifixion)もいい。
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by lerot11 | 2005-09-24 08:29 | 読書メモ