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日々これ好日

"凍り付いた香り"小川洋子

主人公、涼子のプラハへ行くためのトランジットのシーンから始まる。
恋人で調香師助手の弘之(ルーキー)が自殺をしたいきさつが語られ、家族と過ごした日々が語られ、プラハでの旅の日々が語られる。
プラハにあるクジャクのいる洞窟に置かれた壷の中には、人に語られた思い出をしまいこんだクジャクの心臓が入っている。
現実の世界と日現実の世界が、”余白の愛”でもそうだったが、きれいに交わっている。そしてここでもまた、記憶が閉じ込められ分類整理されている。
登場人物もまた、涼子、弘之の弟、章、弘之の母の三角関係。数学が語られ、モーツアルトの髪の毛が出てくる(余白の愛ではベートーベンも補聴器)。
その人を思い出させる香水”記憶の泉”、どんな香がするのだろう。
by lerot11 | 2005-09-25 09:41 | 読書メモ